きつねび 狐火
京都醸造株式会社と、京都・伏見の家守堂がコラボレーションして造ったクラフトビールである。 ビアスタイルは「京番茶バーレーワイン」。アルコール度数11.5%という高アルコールのバーレーワインをベースに、強い燻製香を特徴とする京番茶を副原料として使用している。 麦芽由来のキャラメルやトフィーを思わせる濃厚な風味に、京番茶の香草や焚き火を思わせるスモーキーな香りが重なる、非常に個性的なビールである。2024年12月17日から出荷された商品で、京都醸造の「仲間」シリーズの一つとして展開された。
製造・販売:京都醸造
コラボレーション:家守堂
生産地:京都府
種類:クラフトビール
スタイル:京番茶バーレーワイン
アルコール度数:11.5%
IBU:25
副原料:京番茶、糖類
容量:350ml
出荷開始日:2024年12月17日
狐との関わり
商品名の「狐火」は、日本に古くから伝わる狐の怪異「狐火」をモチーフとしている。
京都醸造は名前の由来について、伏見稲荷大社と狐との関係から説明している。
伏見稲荷大社では、一般的な神社の狛犬に代わって狐の像が参拝者を迎えることで知られている。狐は稲荷神の神使として親しまれる一方、日本の昔話や伝承では、人の姿に化けたり、人間を惑わせたりする不思議な存在としても語られてきた。
京都醸造は、見た目は普通のビールのようでありながら、口にすると京番茶による予想外の強烈なスモーキーさが現れる本商品について、その驚きを「狐に化かされた」ような感覚になぞらえている。
京都・伏見、稲荷の狐、日本の狐伝承、そして驚きのあるビールという複数の要素から「狐火」という名前が付けられている。
狐火とは
狐火とは、夜の山野などで正体不明の火が点々と現れたり、消えたりするとされた怪異である。
古くは「狐が灯す火」「狐が口から吐き出す火」などと考えられ、鬼火や人魂と似たものとして語られてきた。
狐火の俗信は古くから存在し、『宇治拾遺物語』などにも狐が火を灯す話が見られる。また、江戸では王子稲荷周辺に大晦日の夜、狐たちが集まって狐火を灯すという伝承が有名であった。
「狐火」は冬の季語としても使われ、日本の狐文化を代表する怪異の一つとなっている。
京都・伏見と狐
このビールにとって重要なのが、コラボレーション相手である家守堂が京都・伏見にあることである。
伏見には全国の稲荷神社の総本宮である伏見稲荷大社があり、狐との関係が非常に深い土地である。
京都醸造も商品名の説明で伏見稲荷大社を取り上げ、「おいなりさん」として多くの人に親しまれていることや、入口で狐が参拝者を迎えることに触れている。
そのため「狐火」は、単に妖怪・怪異としての狐火を商品名へ借りただけではなく、
京都
↓
伏見
↓
伏見稲荷大社
↓
狐
↓
狐に化かされる伝承
という地域文化を商品コンセプトへ取り込んだビールといえる。
京番茶
狐火に使用される特徴的な副原料が「京番茶」である。
本商品では約14kgもの京番茶を使用しており、ビールに非常に強いスモーキーな風味を与えている。
京番茶は一般的な緑茶とは異なり、製造工程によって独特の燻したような香りを持つ。
京都醸造では、この京番茶の強烈な香りに負けないビールを造る必要があると考え、軽いビールではなく、麦芽の甘みと濃厚さを持つバーレーワインをベースに選んだ。
この煙を思わせる香りも、「狐火」という怪しく幻想的な商品名との相性がよい。
ビールの特徴
ベースモルトには、
・Golden Promise
・Maris Otter
・Wheat Malt
が使用されている。
通常であれば1時間ほど行う煮沸工程を約2時間行い、麦芽の風味をより濃縮させている。
その結果、キャラメルやトフィーを思わせる深い麦芽の味わいが生まれ、そこに約14kgの京番茶を加えることで、茶葉の強い燻製香を重ねている。
ホップにはTettnanger、酵母にはCali Aleを使用。
苦味はIBU25と比較的抑えられており、ホップの苦味を前面に出すというより、
・濃厚な麦芽
・キャラメル
・トフィー
・京番茶
・香草
・焚き火を思わせる煙
といった風味を楽しむ設計となっている。
バーレーワインとは
「バーレーワイン(Barley Wine)」は、直訳すると「大麦のワイン」を意味する。
名前にワインと付いているものの、原料や製法としてはビールに分類される。
一般的なビールより大量の麦芽を使用し、高いアルコール度数と濃厚な麦芽の味わいを持つことが特徴である。
狐火もアルコール度数11.5%と非常に高く、一般的なビールのように喉越しを楽しみながら大量に飲むというより、少量ずつゆっくりと香りや味わいを楽しむタイプである。
おすすめの料理
京都醸造では、狐火と相性のよい料理として、
・鯖のカレーソテー
・ミックスナッツのクリームチーズ和え
・ラムナッツチョコ
などを紹介している。
京番茶の燻製香と濃厚な麦芽の甘みに合わせ、スパイスや脂分、ナッツ、チョコレートなど風味の強い料理・食品との組み合わせが想定されている。
「狐に化かされた」ビール
京都醸造の商品説明では、「狐火」という名称とビールを非常にユニークな形で結び付けている。
見た目から普通のビールを想像して口にすると、濃厚なバーレーワインの味わいに続いて、京番茶による強烈なスモーキーさが現れる。
その予想外の味わいに驚いたとき、
「狐のせいにするかどうかはあなた次第」
という遊び心のある商品コンセプトになっている。
つまり狐の姿そのものを描くだけでなく、日本文化における「狐に化かされる」という体験まで、ビールの味わいへ取り込んでいる。
豆知識
「狐火」という名前を持つ酒は、本商品だけではない。
例えば新潟県の下越酒造では、津川の「嫁入り行列」に合わせて「純米大吟醸袋取り 狐火」という日本酒を100本限定で販売した例がある。
また、福岡県の光酒造にも「狐火」という麦焼酎が存在する。
そのため「狐火」という名称で図鑑登録する場合は、
・京都醸造/家守堂「狐火」
・下越酒造「純米大吟醸袋取り 狐火」
・光酒造「麦焼酎 狐火」
のように、生産者名や酒の種類を併記して区別すると分かりやすい。
京都醸造版はその中でも、伏見稲荷・狐に化かされる伝承・京番茶の煙という京都らしい要素を「狐火」という名前へまとめたクラフトビールである。
関連項目
- 京都醸造
- 家守堂
- 伏見稲荷大社
- 狐火
- 稲荷信仰
- 京番茶
- バーレーワイン
- クラフトビール
- 京都府
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