いいことようこ/きくお ふぃーちゃりんぐ きけん イイコと妖狐/きくお feat. 绮萱
日本の音楽クリエイター・きくおによる楽曲である。バーチャルシンガーの绮萱(Qixuan)をボーカルに起用し、2022年12月30日にYouTubeで公開された。翌2023年1月20日には配信シングルとしてリリースされている。 その後、2023年発売のアルバム『きくおミク7』にも収録され、2曲目に配置された。楽曲時間は約3分53秒である。 題名の通り妖狐を題材とした作品であり、優しく語りかけるような言葉の裏側に、嘘や幻、執着、不穏さが入り混じる独特の世界が描かれている。
基本情報
タイトル:イイコと妖狐
アーティスト:きくお
歌唱:绮萱(Qixuan/ACE Studio)
作詞:きくお
作曲:きくお
編曲:きくお
映像・アートワーク:si_ku.k、きくお
YouTube公開日:2022年12月30日
配信シングル発売日:2023年1月20日
収録アルバム:きくおミク7
収録順:2曲目
楽曲時間:約3分53秒
国:日本
楽曲について
「イイコと妖狐」は、相手へ優しく語りかける妖狐を中心に展開する、幻想的かつ不穏な物語性を持つ楽曲である。
楽曲の前半では、妖狐が相手を「いいこ」と呼び、眠りや夢へと誘うような雰囲気が描かれる。ところが物語が進むにつれて、狐の力、魔法、嘘、幻といった要素が現れ、単なる優しい存在ではないことが徐々に示されていく。
妖狐は相手を大切に思っているように振る舞う一方で、その愛情には強い執着や支配欲も感じられる。優しさと恐ろしさが同時に存在しており、「本当に妖狐の言葉を信じてよいのか」という不安を残す構成となっている。
きくおの作品らしい、かわいらしい音や言葉と不穏な物語の組み合わせが特徴的で、妖狐という存在が持つ「魅力的だが信用しきれない」という性質ともよく重なっている。
キツネとの関係
本作では、キツネは題名だけでなく物語の中心となる存在である。
登場するのは普通の動物としてのキツネではなく、「妖狐」である。妖狐とは、長い年月を生きたり特殊な力を持ったりすると考えられてきた、狐に由来する妖怪・霊的存在の総称である。
日本や中国をはじめとする東アジアの伝承では、狐は人間に化けたり、幻を見せたり、人を惑わせたりする存在として数多く語られてきた。本作でも、狐には不可思議な力があり、嘘や幻を自在に操るような存在として表現されている。
また、キツネの鳴き声を連想させる「コンコン」や、毛並みを想起させる「もふもふ」といった表現も用いられており、妖怪としての狐だけでなく、動物としてのキツネらしさも取り入れられている。
妖狐の「人を惑わせる存在」という伝統的なイメージと、現代的なかわいらしいキャラクター表現を組み合わせた作品といえる。
妖狐の描かれ方
「イイコと妖狐」に登場する妖狐は、単純な悪役として描かれているわけではない。
相手を眠らせ、夢を見せ、そばにいようとする姿には、一見すると優しさや愛情が感じられる。しかし、その言葉の中には嘘や幻も含まれ、相手を自分の世界から逃がさないようにする強い執着も見えてくる。
これは、狐が昔話の中で見せてきた二面性とも重なる。
狐は人を騙す恐ろしい存在として描かれる一方、人間に恋をしたり、恩を返したり、美しい女性へ姿を変えたりする存在でもある。そのため、善悪のどちらかだけでは語れない妖しさが狐伝承の大きな特徴となっている。
本作の妖狐も、かわいらしさ、愛情、嘘、魔法、執着、不気味さが入り混じった存在として描かれており、伝承における妖狐の複雑な魅力を現代的な楽曲へ落とし込んだキャラクターとなっている。
きくおについて
きくおは、日本の音楽クリエイターである。VOCALOIDなどの音声合成技術を使用した作品を数多く制作しており、童謡のような親しみやすさと、幻想的・不気味・残酷な物語を組み合わせた独自の音楽性で知られている。
「イイコと妖狐」では初音ミクではなく、ACE Studioのバーチャルシンガー・绮萱を歌唱に起用している。作詞・作曲・編曲はいずれもきくお自身が担当している。
妖狐の優しくも恐ろしい語りかけを、かわいらしい声と幻想的な音楽によって表現した作品であり、キツネや妖狐を題材とした現代のバーチャルシンガー楽曲の一つである。