びゃっこはやし/あんさんぶる しー 白狐囃子/Ensemble C
「白狐囃子」は、作曲家・福田洋介によるフレックス8重奏のためのアンサンブル作品である。ウィンズスコアの「アンサンブル コンテスト セレクション2016」の一作として2016年7月29日に楽譜が発売され、Ensemble Cによる演奏が同シリーズの参考演奏CD『アンサンブル コンテスト セレクション 2016〈フレックスアンサンブル〉』に収録された。CD自体は2016年7月20日に発売されている。 楽曲時間は5分14秒。歌詞を持たない器楽曲であり、木管・金管楽器と打楽器を自由度の高い編成で組み合わせて演奏する「フレックス8重奏」として作られている。公式楽譜ページでは、作曲・編曲ともに福田洋介、商品番号はECF-0026とされている。 この作品の狐との関係は非常に明確である。ウィンズスコアおよびヤマハの楽譜商品説明では、「日本古来の踊りである神楽舞に登場する『白狐』がテーマ」と明記されている。軽妙な踊りや唄の揺らめき、力強いリズムが「お囃子」に乗って展開する作品であり、題名の狐は単なる比喩ではなく、神楽の中で舞う白狐そのものを音楽的に表現した存在である。
基本情報
タイトル:白狐囃子
訳題:BYAKKO - BAYASHI
作曲:福田洋介
編曲:福田洋介
演奏:Ensemble C(参考演奏・配信音源)
編成:フレックス8重奏
楽譜発売日:2016年7月29日
参考演奏CD発売日:2016年7月20日
デジタル配信日:2018年4月4日
演奏時間:5分14秒
収録作品:アンサンブル コンテスト セレクション 2016〈フレックスアンサンブル〉
CDでの収録順:6曲目
楽譜商品番号:ECF-0026
JASRAC作品コード:185-2574-1
出版社:ウィンズスコア
国:日本
なおApple Musicでは、Ensemble Cによる配信版は2018年4月4日発売の『アンサンブル コンテスト セレクション フレックスアンサンブル 2016』に収録されている。アルバムは全8曲・39分で、「白狐囃子」はEnsemble C名義で配信されている。
「Ensemble C」の意味
配信サービスでは、
「白狐囃子(フレックス8重奏)/Ensemble C」
という形で表示されるため、Ensemble Cが作者のようにも見える。
しかし作曲者は福田洋介である。ウィンズスコア公式楽譜では作曲・編曲ともに福田洋介と明記され、楽譜側の「アーティスト名」は設定されていない。一方、CDおよびストリーミングでは参考演奏を担当したEnsemble Cがアーティストとして登録されている。
そのため整理すると、
作品:「白狐囃子」
作曲者:福田洋介
演奏者:Ensemble C
という関係である。
楽曲について
「白狐囃子」は、神楽舞に現れる白狐を音で描く作品である。
公式解説では、白狐をテーマとして、
軽妙な踊り
唄の揺らめき
力強いリズム
がお囃子に乗って展開すると説明されている。さらに中間部には緩やかな踊りの場面があり、演奏時にはリズム感を大切にするよう指示されている。
つまり一匹の狐について物語を文章で説明する作品ではなく、
白狐が舞う姿
祭りや神楽を思わせる囃子
舞の緩急
を器楽によって描写する作品となっている。
キツネとの関係
本作におけるキツネは、公式に「神楽舞に登場する白狐」と説明されている。
したがって、
野生の白いキツネを描いた自然音楽
ではない。
また、
曲名に偶然「狐」が含まれているだけ
でもない。
神楽という日本の伝統芸能の中で舞う白狐を題材とし、その動きや雰囲気を音楽へ置き換えた作品である。
狐関連楽曲としては非常に直接的で、
題名
作品テーマ
舞のイメージ
お囃子
のすべてが狐を中心に結び付いている。
「白狐」とは
本作で重要なのは、題名が単なる「狐囃子」ではなく「白狐囃子」である点である。
公式解説は、この白狐を「神楽舞に登場する『白狐』」と明確に位置付けている。したがって、本作の「白狐」を野生動物の毛色としての白狐や、実在する白変種・アルビノのキツネとして解釈するのは適切ではない。
この曲で描かれるのは、
舞台・神楽の世界に登場する白狐
である。
そのため狐の生態を表現した楽曲というより、日本文化における「白狐」の舞台表現を音楽化した作品として整理できる。
神楽と白狐
ウィンズスコアは「白狐囃子」について、日本古来の踊りである神楽舞に登場する白狐がテーマだと説明している。
ここで注意したいのは、公式解説では特定の神楽演目・地域・神社までは指定されていないことである。
そのため、
石見神楽の特定演目
稲荷神楽の特定演目
特定地域に伝承される白狐舞
など、具体的な一つの伝統芸能を原典として断定することはできない。
あくまで、
「日本の神楽舞に現れる白狐というイメージ」
をもとに作られた作品として紹介するのが正確である。
「囃子」
題名後半の「囃子」も、この作品を理解するための重要な言葉である。
公式解説では、白狐の軽妙な踊りや唄の揺らめき、力強いリズムが「お囃子に乗って展開」すると説明されている。
つまり「白狐囃子」という題名は、
白狐
と
囃子
という二つの要素をそのまま組み合わせたものになっている。
白狐が踊り、その舞を囃子が盛り上げる。
その情景を、吹奏楽・アンサンブルの楽器へ置き換えているのである。
白狐の「軽妙な踊り」
公式紹介で特に狐らしさを感じさせるのが「軽妙な踊り」という表現である。
本作では白狐を、静止した神聖な像として描くだけではない。
動く。
舞う。
軽やかに踊る。
その運動感をアンサンブルのリズムへ置き換えている。
したがって「白狐囃子」の狐表現を理解する際には、白狐の姿そのものだけでなく、
「白狐の舞」
が作品の中心だと考えることが重要である。
緩やかな中間部
作品全体が激しい祭囃子だけで進むわけではない。
公式解説では中間部についても「ゆるやかな踊り」であると説明され、演奏者にはリズム感を大切にするよう求めている。
そのため白狐の舞には、
軽快な動き
だけでなく、
ゆったりとした動き
も存在する。
約5分14秒という短い作品の中で、白狐の舞の表情を変化させながら進んでいく構成になっている。
打楽器と「お囃子」
「白狐囃子」は打楽器の扱いも特徴的である。
公式の編成表では、打楽器に、
ボンゴ(締太鼓)
サスペンデッド・シンバル
スレイベル
当り鉦
タンバリン
ヴィブラフォン
フロアタム(桶胴太鼓)
ウッドブロック
トライアングル
ウインドチャイム
などが指定されている。
特に、
締太鼓
当り鉦
桶胴太鼓
といった日本の囃子を強く思わせる音色が含まれている点が、「白狐囃子」という題材と直接結び付いている。
太鼓
公式解説では、打楽器は本来3名で演奏するよう作られているものの、1~2名へ減らすことも、反対に太鼓を重ねて大人数で演奏することも可能だとされている。
つまり編成そのものにかなり柔軟性がある。
人数の限られた学校のアンサンブルでも演奏できる。
一方で人数に余裕があれば、太鼓を増やしてより大きな祭り・囃子的な響きを作ることもできる。
白狐の舞と祭囃子の雰囲気を、演奏団体の規模に応じて変化させられる作品である。
フレックス8重奏
「白狐囃子」は「フレックス8重奏」として書かれている。
一般的な「クラリネット8重奏」「金管8重奏」のように使用楽器を完全に固定するのではなく、各パートから演奏可能な楽器を選ぶ形式である。
ウィンズスコア公式の編成表では、第1パートだけでもピッコロ、フルート、オーボエ、クラリネット、ソプラノサックス、トランペットなどから選択でき、他パートにも複数の木管・金管楽器が設定されている。
このため、学校や団体の所有楽器・メンバー構成に合わせて編成を組むことができる。
編成
公式楽譜では、大きく5つの旋律・管楽器パートと3つの打楽器パートで構成されている。
Part 1:
Piccolo/Flute/Oboe/E♭ Clarinet/B♭ Clarinet/Soprano Saxophone/B♭ Trumpet
Part 2:
Oboe/B♭ Clarinet/Alto Saxophone/B♭ Trumpet
Part 3:
B♭ Clarinet/Alto Saxophone/Tenor Saxophone/F Horn/Trombone/Euphonium
Part 4:
B♭ Clarinet/Alto Clarinet/Tenor Saxophone/Baritone Saxophone/F Horn/Trombone/Euphonium
Part 5:
Bassoon/Bass Clarinet/Baritone Saxophone/Trombone/Euphonium/Tuba/String Bass
Part 6~8:
各種打楽器
という構成である。
アンサンブルコンテスト向け作品
「白狐囃子」は、ウィンズスコアが展開する「アンサンブル コンテスト セレクション2016」の一作として出版された。出版社自身が「コンテスト向けのアンサンブル楽譜シリーズ」と位置付けている。
楽譜の難易度はウィンズスコア表記でグレード2.5、演奏時間は5分14秒である。
比較的短い時間の中で、
白狐の踊り
囃子
緩急
打楽器によるリズム
を表現するため、演奏技術だけでなく、曲の情景をどう表現するかも重要になる作品である。
楽譜の発売
楽譜「白狐囃子」は2016年7月29日にウィンズスコアから発売された。
商品番号はECF-0026、ISBNは9784866197555。ウィンズスコアでは冊子版とダウンロード版が提供されている。
公式ページでは英語・ローマ字による訳題として、
「BYAKKO - BAYASHI」
も掲載されている。
参考演奏CD
楽譜に先行して、2016年7月20日には参考演奏CD『アンサンブル コンテスト セレクション 2016〈フレックスアンサンブル〉』が発売された。演奏はEnsemble Cである。
このアルバムには全8作品が収録され、「白狐囃子」は6曲目である。レコチョクでも同じアルバムの6曲目として登録され、演奏時間5分14秒と確認できる。
つまり「Ensemble C/白狐囃子」として知られている音源は、この楽譜シリーズの参考演奏として制作されたものが出発点である。
2018年のデジタル配信
2016年にCDとして発売された参考演奏は、その後デジタル配信された。
Apple Musicでは『アンサンブル コンテスト セレクション フレックスアンサンブル 2016』が2018年4月4日付で配信され、全8曲・39分、℗ 2018 Winds Scoreと記載されている。
「白狐囃子(フレックス8重奏)」もEnsemble Cの楽曲として個別ページが用意されている。
したがって発売情報は、
2016年7月20日:参考演奏CD発売
2016年7月29日:楽譜発売
2018年4月4日:デジタル配信
と整理できる。
福田洋介
「白狐囃子」の作曲者は福田洋介である。ウィンズスコア、ヤマハ双方の楽譜情報で、作曲・編曲者として福田洋介が明記されている。
そのため、配信上のアーティスト名「Ensemble C」と作者を混同しないことが重要である。
サイト上でクレジットする場合は、
作曲:福田洋介
演奏:Ensemble C
と併記すると分かりやすい。
Ensemble C
Ensemble Cは、「アンサンブル コンテスト セレクション」シリーズの参考演奏を担当しているアンサンブルである。
Apple Musicでは、
『アンサンブル コンテスト セレクション 2014〈フレックスアンサンブル〉』
『アンサンブル コンテスト セレクション 2015〈フレックスアンサンブル〉』
『アンサンブル コンテスト セレクション フレックスアンサンブル 2016』
など複数の参考演奏アルバムがEnsemble C名義で配信されている。
「白狐囃子」も、その参考演奏レパートリーの一つである。
特定の白狐伝説を描いた曲ではない
「白狐」という言葉から、
稲荷神の眷属
白狐伝説
妖狐
神狐
などを連想することもできる。
しかし、ウィンズスコアによる公式作品解説で確認できるのは、
「神楽舞に登場する白狐」
という設定までである。特定の稲荷神社、白狐伝説、妖狐説話、九尾の狐などを原典にしたとは説明されていない。
したがって、
「稲荷神の白狐を描いた作品」
「妖狐を描いた作品」
「特定の白狐伝説の音楽化」
と断定するのは避けるべきである。
確実なのは、
神楽の中で舞う白狐
がテーマであるという点である。
九尾の狐ではない
題名に狐があり、和風の神秘的な世界を持つ作品ではあるが、「九尾の狐」を示す情報は公式資料にはない。
したがって、
玉藻前
殺生石
九尾
天狐
などの伝承とは分けて扱う必要がある。
本作は「高位の妖狐を描いた音楽」というより、
神楽で舞う白狐と、その舞を盛り上げる囃子
を中心にした器楽作品である。
狐が「踊る」音楽
狐関連音楽の中でも「白狐囃子」の特徴は、狐の物語や心理ではなく「動き」を音楽にしていることである。
公式解説が強調しているのは、
白狐の軽妙な踊り
唄の揺らめき
力強いリズム
緩やかな中間部
である。
つまりこの曲で想像する狐は、
語る狐
恋をする狐
人を化かす狐
ではなく、
舞台の上で舞う狐
である。
楽器によって白狐の身体の動きや神楽の空気そのものを表現する点に、この作品ならではの狐らしさがある。
狐と伝統芸能をつなぐ作品
「白狐囃子」は、現代の吹奏楽・アンサンブル作品でありながら、その題材を日本の神楽舞から取っている。
一方で使用する楽器は、フルート、クラリネット、サックス、ホルン、トロンボーン、ユーフォニアムなど、現代の吹奏楽で一般的な西洋楽器が中心である。そこへ締太鼓、当り鉦、桶胴太鼓を意識した打楽器が加えられている。
そのため構造としては、
日本の神楽
↓
白狐の舞
↓
お囃子
↓
現代の吹奏楽アンサンブル
という形になっている。
日本の狐文化・伝統芸能を、学校吹奏楽やアンサンブルコンテストでも演奏できる現代作品へ置き換えた楽曲である。
狐関連楽曲としての位置付け
「白狐囃子」は、狐との関係が公式に明示された器楽作品である。
特徴を整理すると、
曲名に「白狐」
神楽舞に登場する白狐が公式テーマ
白狐の軽妙な踊りを音楽で表現
中間部には緩やかな舞
囃子を思わせる力強いリズム
締太鼓・当り鉦・桶胴太鼓を意識した打楽器編成
約5分14秒のフレックス8重奏
福田洋介作曲
Ensemble Cによる参考演奏
という要素を持つ。
特に重要なのは、題名だけから狐を想像する必要がないことである。
出版社自身が、
「神楽舞に登場する白狐がテーマ」
と明言している。
白狐が軽やかに舞う。
囃子がその舞を支える。
途中では動きが緩やかになり、再び力強いリズムへ展開していく。
そうした神楽の情景を、木管・金管・打楽器による現代的なアンサンブル作品へ変換した一曲である。
妖狐の恐ろしさや九尾の狐の伝説を描くのではなく、「舞う白狐」という日本の伝統芸能的な狐像を音楽化した作品であり、狐と神楽・囃子の関係を紹介できる貴重な狐関連楽曲である。