一覧へ戻る

みんしゅうぼんきつねらいなーるととけんえつ 民衆本狐ライナールトと検閲

オランダ語・中世文学研究者の檜枝陽一郎による翻訳・研究書である。2020年に言叢社から刊行された。 本書は、16世紀に出版された民衆本『狐ライナールト』と、その後に刊行された『狐ライナールトあるいは動物の審判』の完訳に加え、当時の出版文化や検閲制度について詳しく解説した学術書である。

あらすじ・内容

本書では、16世紀の印刷本『狐ライナールト』と、宗教色を抑えて改訂された『狐ライナールトあるいは動物の審判』を日本語で読むことができる。

さらに、両作品を比較しながら、宗教改革や王権・教会による検閲が物語にどのような影響を与えたのかを詳細に分析している。社会批判や教会批判など、初期の物語に含まれていた表現が、出版の過程でどのように削除・改変されたのかが具体例を交えて解説されている。

主な内容

  • 『民衆本 狐ライナールト』完訳
  • 『狐ライナールトあるいは動物の審判』完訳
  • 16世紀ヨーロッパの印刷文化
  • 王権・教会による検閲
  • 動物寓話の社会風刺
  • 『ケンブリッジ断片』の解説と翻訳
  • 詳細な注釈・参考文献・書誌情報

文学作品だけでなく、歴史資料としても価値の高い内容となっている。

本書の魅力

本書最大の魅力は、「狐ライナールト」の物語だけでなく、その伝わり方そのものを研究対象としている点である。

中世ヨーロッパでは、狐ライナールトは単なる動物の物語ではなく、権力者や聖職者への風刺を含む作品として親しまれていた。しかし、印刷文化の発展とともに検閲が行われ、内容は少しずつ書き換えられていった。

本書では、その変化を原典と比較しながらたどることができるため、文学史・出版史・宗教史を横断して学べる一冊となっている。

  • #創作
  • #書籍
  • #実用書
  • #狐物語
  • #キツネのライネケ
  • #日本
  • #海外
  • #ヨーロッパ
  • #フランス