べんがるぎつね ベンガルギツネ

黒い尾先と灰褐色の毛並みが特徴の、インド亜大陸の草原に暮らすキツネ。

概要

ベンガルギツネは、食肉目イヌ科キツネ属に分類される哺乳類である。学名は Vulpes bengalensis。英語では「Bengal fox」のほか、「Indian fox」とも呼ばれる。

インド亜大陸に固有のキツネで、草丈の低い草原や低木の点在する開けた環境を主な生活場所とする。昆虫や小動物、果実などを食べ、地中の巣穴を休息や子育てに利用する。IUCNイヌ科専門家グループ「Bengal fox」

基本情報

項目

内容

和名

ベンガルギツネ

学名

Vulpes bengalensis

英名

Bengal fox、Indian fox

分類

食肉目イヌ科キツネ属

分布

インド、ネパール、パキスタン、バングラデシュ

頭胴長

約46〜61cm

体重

約2〜4kg

主な生息環境

草原、低木地、農牧地周辺

活動時間

主に明け方・夕方から夜間

主な食べ物

昆虫、ネズミ類、爬虫類、果実など

保全状況

低懸念(LC)

体の大きさはAnimal Diversity Web、バングラデシュでの生息は同国北西部の巣穴を調べた研究でも確認されている。

姿・特徴

細長い鼻先と大きな耳、ふさふさした尾を持つ。背中は灰色を帯び、腹側は淡い色になる。毛色には地域や季節による違いがある。

特に目立つのが、尾の先端にある黒い部分である。顔には鼻先の上部などに小さな黒い模様が見られ、耳の毛は暗褐色で縁が黒っぽい。

尾の持ち方は動作によって変わり、走るときには水平に保つことがある。大きな耳と黒い尾先は、姿を見分ける際の手がかりとなる。Animal Diversity Web「形態」

分布と生息環境

分布の中心はインド亜大陸で、ヒマラヤ山麓からインド半島南部にかけて広く見られる。

好むのは、平坦または緩やかな起伏のある半乾燥地である。草丈の低い草原や低木地など、餌を探しやすく、巣穴を掘れる環境を利用する。農牧地が入り交じる場所にも生息するが、密林や急斜面、丈の高い草原、極端に乾燥した砂漠は避ける傾向がある。IUCNイヌ科専門家グループ「分布・生息環境」

活動と巣穴での暮らし

主に明け方や夕方に活動し、夜間にも餌を探す。

2026年に発表されたバングラデシュ北西部の研究では、2024年3〜5月に巣穴周辺をカメラで観察した結果、活動のピークが朝夕に見られた。一方で日中の行動も記録されており、活動時間は夜だけに限られていない。

巣穴周辺では、毛づくろいや周囲の警戒、個体同士の交流などが観察された。人間が利用する土地でも巣穴を継続して使っており、巣とその周辺が生活の重要な拠点となっている。ただし、この調査は一つの巣穴を対象としており、地域や季節による違いも考慮する必要がある。Akashほか「ベンガルギツネの巣穴周辺での行動」

食べ物

雑食性で、その場所で得られるさまざまな餌を利用する。

インド西部グジャラート州のカッチ地方で行われた糞分析では、昆虫などの節足動物が高い頻度で確認された。甲虫やバッタ類のほか、ネズミ類、シロアリ、ナツメ属の果実、トカゲなども食べていた。

同じ研究では、幼獣の食べ物に占めるネズミ類の重要性が、成獣より高いことも示された。また、草原と低木地では食べ物の構成に違いがあり、周囲の環境に応じて餌を利用していることがうかがえる。Home・Jhala「カッチ地方のベンガルギツネの食性」

繁殖と子育て

通常は年1回繁殖し、妊娠期間は約50〜53日とされる。一度に複数の子どもを産み、巣穴で育てる。

子育てにはオスとメスの両方が関わる。オスがメスや子どもへ食べ物を運ぶほか、親が交代で採食に出て、巣を見守る行動が報告されている。

巣穴には複数の出入口があり、同じ場所を年をまたいで利用する場合もある。繁殖に向けて古い巣を掘り直したり、新しい巣を掘ったりする。Animal Diversity Web「繁殖・巣穴」

保全状況

IUCNレッドリストでは低懸念(LC)に分類されているが、個体数の傾向は減少とされる。

主な問題は、草原や低木地が農地、工業用地などへ変わり、生息環境が失われることである。餌の量によって個体数が変動するほか、狂犬病や犬ジステンパーによる地域的な減少も記録されている。

参考リンク

https://www.canids.org/species/view/PREKR4188521