ちいさなきたきつね/よこやまだいすけ・みたにたくみ ちいさなキタキツネ/横山だいすけ・三谷たくみ
「ちいさなキタキツネ」は、関和男が作詞、乾裕樹が作曲した子どもの歌である。横山だいすけ・三谷たくみによる歌唱版は、NHK『おかあさんといっしょ』の楽曲として歌われ、2015年発売のアルバム『おかあさんといっしょ 最新ベスト おひさまーち』に収録された。ポニーキャニオン公式では同アルバムを2015年10月21日発売、品番PCCG.01486として掲載している。 題名の「キタキツネ」は単なる比喩や象徴ではなく、歌詞の主人公そのものである。迷子になったり、けがをしたり、母親に甘えたり、遊んで眠ったりする幼いキタキツネの日常と成長を、温かな視点で描いた作品となっている。作詞・作曲者については、NHK出版提供の楽譜情報でも作詞・関和男、作曲・乾裕樹と確認できる。 なお、本曲そのものは横山だいすけ・三谷たくみ版より以前から存在する。1991年3月21日にポニーキャニオンから発売されたCD『NHK「母と子のテレビ絵本」ちいさなキタキツネ』には、白鳥英美子による「ちいさなキタキツネ」が収録されている。このため、2015年は楽曲自体の初出年ではなく、横山だいすけ・三谷たくみ版のCD収録・発売年として扱うのが適切である。
基本情報
曲名:ちいさなキタキツネ
歌唱:横山だいすけ、三谷たくみ
作詞:関和男
作曲:乾裕樹
使用番組:NHK『おかあさんといっしょ』
原関連番組:NHK『母と子のテレビ絵本』
収録アルバム:『おかあさんといっしょ 最新ベスト おひさまーち』
発売日:2015年10月21日
曲順:11曲目
楽曲時間:約2分22秒
品番:PCCG.01486
発売元:ポニーキャニオン
企画・制作:NHKエデュケーショナル
国:日本
横山だいすけ・三谷たくみ版について、ポニーキャニオン公式では『おかあさんといっしょ 最新ベスト おひさまーち』の11曲目に「ちいさなキタキツネ」が収録されていることが確認できる。Apple Musicでも同曲が2015年10月21日付の同アルバム収録曲として掲載されている。
AWAでは楽曲時間を2分22秒として掲載している。
楽曲について
歌詞では、小さなキタキツネのいくつかの姿が短い場面として描かれている。
最初に登場するのは、迷子になって泣いている幼いキタキツネである。しかし母親のキツネがやって来ることを信じて待っている様子が描かれ、続いて、けがをしても元気に振る舞いながら、成長して「おにいさんキツネ」の仲間入りをする日を思い描く姿が歌われる。さらに、母親の乳を飲んで甘える姿や、たくさん遊んだあとに眠りにつく姿も登場する。
つまり、物語性の強い冒険譚というより、一頭の幼いキタキツネの日常や成長過程をいくつか切り取った歌である。
迷子になる不安、母親への依存、遊び、睡眠、成長への憧れといった要素が幼い動物の姿を通して表現されており、子どもにも理解しやすい内容となっている。
妖狐や化け狐のように人間へ変身したり、人を化かしたりする存在ではなく、あくまで動物としてのキタキツネが中心となる。
『母と子のテレビ絵本』との関係
本曲は『おかあさんといっしょ』だけに由来する作品ではない。
NHK出版提供の楽譜では、「ちいさなキタキツネ」のタイアップ情報としてNHK『母と子のテレビ絵本』が明記されている。
また、1991年3月21日にポニーキャニオンから発売されたアルバム『NHK「母と子のテレビ絵本」ちいさなキタキツネ』には、白鳥英美子歌唱による本曲が2曲目に収録されている。アルバムの品番はPCCG-00126である。
このことから、「ちいさなキタキツネ」は少なくとも1991年までには存在しており、その後『おかあさんといっしょ』でも歌い継がれてきた楽曲であることが分かる。
横山だいすけ・三谷たくみ版は、その長く歌い継がれている楽曲の一つの歌唱版という位置付けになる。
『おかあさんといっしょ』での歌唱
横山だいすけはNHK『おかあさんといっしょ』の11代目うたのおにいさん、三谷たくみは20代目うたのおねえさんとして出演しており、二人による「ちいさなキタキツネ」が音源化されている。
2015年発売の『おかあさんといっしょ 最新ベスト おひさまーち』では、「ゆきだるまのルー」と「ひかるみらい」の間となる11曲目に収録されている。
また、この曲は特定の歌唱者だけに固定された作品ではなく、『おかあさんといっしょ』で後代のうたのおにいさん・うたのおねえさんにも歌い継がれている。したがって、横山だいすけ・三谷たくみは本曲を代表する歌唱者の一組ではあるものの、楽曲そのものの作者ではない。
キツネとの関係
本曲は「実在するキツネそのものを主人公とした楽曲」に分類できる。
さらに題名で明確に「キタキツネ」と種・地域個体群を特定しており、単に一般的な「狐」ではない点も重要である。
キタキツネは北海道に生息するアカギツネの亜種として知られる動物であり、本曲では妖怪・神使・象徴ではなく、子育てをする野生動物として描かれている。
歌詞には母親のキツネ、幼いキタキツネ、成長したキツネを思わせる表現があり、幼獣が親に依存しながら成長していく様子が物語の中心となる。
したがって、本曲における狐との関係は非常に直接的である。
「タイトルに狐が入っているだけ」
「狐を人間の比喩として使用している」
「妖狐や狐神を題材としている」
といったタイプではない。
実在するキタキツネとの違い
歌詞には実際のキタキツネの幼獣を思わせる、母親に甘えること、遊ぶこと、眠ること、成長していくことなどが描かれている。
一方で、本曲は生物学的な生態解説を目的とした作品ではなく、幼いキツネを人間の子どもにも共感しやすい存在として描く児童歌である。
「おにいさんキツネの仲間入り」や、幼獣自身の感情を言葉として表現する部分などには児童歌らしい擬人化が含まれている。そのため、歌詞のすべてを実際のキタキツネの生態そのものとして理解するのではなく、野生動物の子どもの成長を親しみやすく表現した作品として見るのが適切である。
ただし、妖狐のような超自然的な擬人化ではなく、基本的な舞台や存在そのものは現実のキタキツネを想定した内容である。
狐文化との関係
日本の狐を題材とした楽曲では、稲荷信仰、白狐、妖狐、九尾の狐、狐面、狐火などが扱われることも多いが、「ちいさなキタキツネ」にはそのような民俗・伝承的要素は確認できない。
歌詞のキツネは神の使いでも妖怪でもなく、北海道などの自然環境に暮らす動物としてのキタキツネである。
そのため、「狐」という題材を扱っている点だけを理由に稲荷信仰や妖狐伝承へ結び付ける必要はない。
本曲の狐関連性は、文化的・伝承的な狐ではなく「野生動物としてのキツネ」にある。
狐関連楽曲としての位置付け
「ちいさなキタキツネ」は、狐関連楽曲の中でも非常に分かりやすい「動物としての狐を直接描いた児童歌」である。
主人公は明確にキタキツネであり、その幼少期の日常、母親との関係、遊び、成長が歌の中心となっている。そのため、タイトルだけに狐の名を借りた作品とは明確に区別できる。
また、日本の創作物で狐が登場する際に多い「妖狐」「化け狐」「稲荷の眷属」といった存在ではなく、実在するキタキツネを題材としている点も特徴的である。
『母と子のテレビ絵本』から『おかあさんといっしょ』へと長く歌い継がれてきた子どもの歌であり、幼いキタキツネを親しみのある存在として描いた、日本の児童音楽における狐の楽曲の一つと位置付けられる。