ざふぁーすとつりー The First Tree

一匹の母狐を操作して自然の中を旅する三人称視点の探索アドベンチャーゲームである。 David Wehleによって制作され、PC版は2017年9月14日に発売された。その後、PlayStation 4、Nintendo Switch、Xbox Oneなどにも展開されている。Nintendo Switch版は2018年11月30日に北米で発売され、日本では2018年11月29日に配信された。 本作では、 「行方不明になった子供たちを探す母狐」 と、 「アラスカで暮らした父との関係を振り返る男性」 という二つの物語が並行して描かれる。 プレイヤーは狐を操作して雪原や森林、山々などを探索しながら、人間側の記憶に関係する品々を見つけていく。 単純に狐として自然を歩き回るゲームではなく、生、死、喪失、家族、後悔、希望といったテーマを狐の旅と人間の物語を重ねることで描いた作品である。

基本情報

タイトル:The First Tree
開発・発売:David Wehle
ジャンル:探索アドベンチャー
初回発売日:2017年9月14日
初回対応機種:PC
対応機種:PC、PlayStation 4、Nintendo Switch、Xbox Oneなど
プレイ人数:1人

PC版は2017年9月14日にSteamで発売され、PlayStation 4版は2018年11月30日に発売された。

公式の作品紹介では、約2時間ほどで遊べる短編のストーリー重視作品とされており、簡単なパズルやプラットフォームアクションは存在するものの、敵との戦闘は存在しない。

ゲーム概要

プレイヤーが操作するのは、一匹の母狐である。

母狐は姿を消してしまった自分の子供たちを探して旅をしている。

雪に覆われた山から始まり、森林、草原、荒野など、さまざまな自然環境を走りながら先へ進んでいく。

ゲームプレイは探索を中心としており、

走る
跳ぶ
高い場所へ登る
周囲を探索する
アイテムを見つける
簡単な仕掛けを解く

といった行動を行う。

敵との戦闘や複雑なアクションを中心としたゲームではない。

むしろ、静かな自然の中を狐として歩き回りながら、世界に残された物語を発見していくことがゲームの中心である。

二つの物語

『The First Tree』最大の特徴が、狐と人間という二つの異なる物語が同時に進んでいくことである。

一つは、

「行方不明になった子供を探して旅をする母狐」

の物語。

もう一つは、

「疎遠になった父親との関係を振り返る男性」

の物語である。

人間側の中心人物はジョセフという男性で、彼が自分の父親との思い出について語っていく。

ジョセフが語る過去と、プレイヤーが操作する狐の旅は、一見するとまったく異なる物語である。

しかし狐が世界を探索していくと、ジョセフの人生や父親との思い出に関係する品々が各地に現れる。

それらを見つけることで人間側の記憶が語られ、徐々に二つの物語が重なっていく。

つまり、狐の旅そのものがジョセフの記憶をたどるための舞台にもなっている。

主人公の狐

本作の主人公は、四足歩行する動物としての狐である。

人間型の狐キャラクターではない。

『スターフォックス』のフォックス・マクラウドのような擬人化された狐でも、『狐が僕を待っている』のシュアや『狐のかえり道』の狐巫女のような狐耳の人型キャラクターでもない。

現実の狐に近い姿をした動物として描かれている。

外見は赤褐色から橙色系の毛並みを持つアカギツネを思わせ、

大きな三角形の耳
細長い口吻
白い腹部
細い脚
大きく長い尻尾

といった特徴を持っている。

母狐

主人公は単なる「一匹の狐」ではなく、子供を探している母狐である。

この点は、『The First Tree』における狐を理解するうえで非常に重要である。

物語の出発点は、

「母狐の子供たちが姿を消してしまった」

という出来事である。

母狐はその子供たちを探すために広大な世界を旅していく。PlayStation Blogでも、本作は「子を探すために“はじまりの樹”を目指す母キツネの旅」として紹介されている。

そのため、狐は単なるプレイヤーのアバターとして配置されているわけではない。

「親が子供を探す」

という家族の物語を背負った存在として登場している。

子狐

母狐が探している存在。

物語開始時点で姿を消しており、母狐の旅の目的となっている。

そのため、ゲーム内で長時間一緒に行動する仲間として登場するわけではない。

しかし、

「自分の子供を探す母親」

という設定そのものが、人間側で描かれる親子関係と重なっていく。

狐の家族と人間の家族。

異なる二つの親子関係が物語の中で並べられていることが、本作の特徴である。

ジョセフ

人間側の物語の中心人物。

アラスカで暮らしていた父親との関係や、自分の過去について語る男性である。

ジョセフ自身は狐ではない。

通常の狐Wikiであれば、人間キャラクターについて細かく記載する必要性は低い。

しかし『The First Tree』では例外である。

なぜなら、プレイヤーが操作している母狐の旅そのものが、ジョセフの記憶や家族との関係と密接に結び付いているためである。

ジョセフと父親の物語を完全に省略してしまうと、

「なぜ狐が人間の思い出に関係する品々を見つけるのか」

「なぜ母狐の旅が描かれているのか」

という作品の構造が分からなくなってしまう。

そのため「ふぉくすなっ♪」では、人間側の物語をすべて詳細に説明するのではなく、狐の旅との関係が理解できる範囲で記載するのが適している。

父親

ジョセフの父。

ジョセフが自らの人生を振り返るうえで非常に重要な人物である。

本作ではジョセフと父親との関係が、人間側の物語の中心となっている。公式にも、もう一つの物語は「a son reconnecting with his estranged father in Alaska」と説明されている。

父親そのものは狐とは関係しない。

しかし、

母狐と子狐
ジョセフと父親

という二つの家族関係を対比させる構成になっているため、本作においては狐を理解するために必要な人物と言える。

狐と人間の物語

『The First Tree』は、

狐の冒険
人間の回想

を別々に描いた作品ではない。

プレイヤーが狐として探索している世界の中に、人間であるジョセフの思い出に関係した物が現れる。

それを狐が発見することで、人間側の物語が少しずつ語られていく。

つまり、

狐の探索
↓
思い出の品を発見
↓
ジョセフの記憶が語られる
↓
父親との関係が明らかになる

という形で物語が進む。

狐の旅と人間の人生が互いに独立しているのではなく、ゲームが進むほど両者が重なっていく構造になっている。

狐が象徴するもの

本作では「狐とはこういう象徴である」と単純に説明されているわけではない。

しかし、物語の構造を見ると、母狐の旅は家族や喪失という作品全体のテーマと強く結び付いている。

子供を探して旅する母狐。

父との関係を振り返るジョセフ。

この二つの物語を重ねることで、

家族
親子
別れ
後悔
死
受容
希望

といったテーマが描かれていく。

制作者のDavid Wehle自身も、本作を制作した理由について、死、喪失、希望といった考えを扱うための物語として始めたことを語っている。

そのため、本作における狐は単なる「かわいい動物の主人公」という以上の役割を持っている。

人間の親子関係や喪失を映し出す存在として、母狐の旅が利用されている。

「狐シミュレーター」ではない

『The First Tree』を狐ゲームとして紹介する際、特に注意したいのがこの点である。

公式の作品説明でも、本作について明確に「fox simulatorではない」と説明されている。

つまり、

狐として狩りをする
縄張りを作る
巣穴で生活する
繁殖する
獲物を探す
狐の生態を再現する

といったゲームではない。

狐を操作することはできるが、現実の狐の生態を体験するシミュレーションゲームではない。

ジャンルとしては、

「狐を主人公として用いた、物語重視の探索アドベンチャー」

とするのが適切である。

狐の動き

プレイヤーはゲーム中の大部分で母狐を直接操作する。

三人称視点で狐の後方を見る構成となっているため、狐の姿を眺められる時間は非常に長い。

自然の中を、

走る
歩く
跳ぶ
斜面を登る
高い場所から飛び降りる
周囲を探索する

といった行動ができる。

ゲームには敵が存在しないため、狐が戦う場面は基本的にない。

この点でも、狐を「戦闘キャラクター」として扱う作品とは大きく異なる。

狐が静かな自然の中を移動する姿そのものを楽しむ作品である。

自然と狐

本作では自然環境も重要な要素となっている。

雪山、森、草原などを狐が走り抜けるため、野生動物としての狐と自然風景との組み合わせを長時間見ることができる。

ゲームとしてのリアルな生態再現を目的とした作品ではないが、

「自然の中を一匹の狐が旅する」

という視覚的な体験は非常に強い。

そのため、狐のキャラクター性よりも、

狐そのもの
自然の中の狐
四足歩行する狐

を好む人との相性が良い作品である。

The First Treeとは

タイトルになっている「The First Tree」は、日本のPlayStation Storeなどでは「はじまりの樹」と表現されている。

母狐は旅を続けながら、このThe First Treeを目指していく。

単なる目的地点というだけではなく、生と死、家族、喪失といった本作のテーマへつながる重要な存在である。

そのため、タイトルに狐を直接示す言葉は含まれていないものの、「狐の旅の終着点」を示す言葉がそのまま作品名となっている。

狐との関係性

『The First Tree』と狐との関係性は非常に強い。

主人公が狐であり、

操作キャラクター
探索する存在
物語を進める存在
家族を探す母親
人間側の物語と重なる存在

という複数の役割を担っている。

特に重要なのは、「狐であること」と「母親であること」の両方である。

単純に、

「狐を操作できるゲーム」

というだけでは本作を十分に説明できない。

「子供を失った母狐の旅を、人間の親子の物語と重ねて描くゲーム」

というところまで含めることで、『The First Tree』における狐の役割が分かりやすくなる。

狐好きから見たThe First Tree

狐を目的としてゲームを探している場合、本作は狐要素のかなり強い作品である。

ゲーム開始から基本的に狐を操作し続けるため、狐の登場時間は非常に長い。

特に、

四足歩行する狐が好き
自然の中を走る狐を見たい
狐を直接操作したい
戦闘より探索を楽しみたい

という人と相性が良い。

一方で、先述したように狐の生態シミュレーターではない。

また、狐自身が会話したり、人間のような性格付けをされたりする作品でもない。

『Spirit of the North』と比較すると、どちらも四足歩行の狐を操作する探索ゲームだが、作品の方向性には違いがある。

『Spirit of the North』
→狐と精霊、北方の伝承、幻想世界を探索する

『The First Tree』
→母狐の旅と人間の家族・喪失の物語を重ねる

という違いがある。

そのため、狐そのものを操作できる点では共通しているものの、『The First Tree』は特に「狐を通して人間の家族や喪失について描いた物語作品」として見ると特徴が分かりやすい。

シリーズ

2026年8月時点で、『The First Tree』の正式な続編やシリーズ作品は確認できない。

David Wehleによる単独作品として展開されており、PlayStation 4、Nintendo Switch、Xbox Oneなどへの移植版は存在するものの、いずれも基本的には同一作品である。

そのため「ふぉくすなっ♪」では、シリーズ記事として分割する必要はなく、『The First Tree』単独の記事として扱うのが適切である。

狐ゲームとしての分類

『The First Tree』を狐ゲームとして分類する場合は、

狐が主人公:該当
狐を操作可能:該当
動物としての狐:該当
擬人化された狐:非該当
狐耳キャラクター:非該当
妖狐・精霊狐:基本的に非該当
狐の生態シミュレーション:非該当
狐が物語の中心:該当

となる。

特に「動物としての狐を直接操作できるゲーム」という分類では、代表的な作品の一つである。

  • #創作
  • #ゲーム
  • #TheFirstTree
  • #狐
  • #アカギツネ
  • #海外
  • #アメリカ