きつねのぶんがくし 狐の文学史
日本文学研究者の星野五彦による文学研究書である。初版は1995年に新典社から刊行され、2017年には内容を加筆した『狐の文学史 増補改訂』が万葉書房より出版された。本書は、日本文学に登場する「狐」の姿を時代ごとに分析し、その役割やイメージの変遷を考察した専門書である。
あらすじ・内容
本書は、日本文学において狐がどのように描かれてきたのかを、古代から近世、さらに民話や中国古典との比較まで含めて体系的に考察した研究書である。
単に狐が登場する作品を紹介するだけではなく、それぞれの時代における狐の役割や、人々が狐に抱いていたイメージの変化を丁寧に分析している。
文学作品を通して、日本人の信仰や世界観、動物観がどのように形成されてきたのかを読み解くことができる。
主な内容
本書は次のような章で構成されている。
- 上代文学に見る狐
- 王朝文学に見る狐
- 中世文学に見る狐
- 近世文学に見る狐
- 民話に見る狐
- 中国古典に見る狐
増補改訂版では、さらに周辺国に見る狐についての章が追加されている。
本書の魅力
本書最大の魅力は、「狐」を一つのテーマとして日本文学全体を横断的に分析している点である。
『日本書紀』や『今昔物語集』、『宇治拾遺物語』などの古典文学から、近世文学や民話まで幅広く取り上げられており、「なぜ狐は人を化かす存在になったのか」「なぜ神の使いとしても語られるようになったのか」といった疑問を、文学資料をもとに考察している。
民俗学だけでなく、日本文学や歴史に興味がある人にとっても読み応えのある一冊である。