ざ ふぉっくす/りとる べいびー ばむ なーさりー らいむ ふれんず The Fox/Little Baby Bum Nursery Rhyme Friends
「The Fox」は、子ども向け映像・童謡シリーズLittle Baby Bumによる楽曲で、配信上では「Little Baby Bum Nursery Rhyme Friends」名義で発表されている。 2018年7月13日発売のアルバム『Animal Songs and Nursery Rhymes for Children, Vol. 1 - Fun Songs for Learning with LittleBabyBum』に収録されており、同アルバムでは3曲目に配置されている。楽曲時間は1分52秒である。 一方、Little Baby Bum公式YouTubeチャンネルでは、それより早い2017年7月18日に「Learn with Little Baby Bum | The Fox」と題した動画内の冒頭曲として公開されている。そのため、確認できる範囲では2017年のYouTube公開が先行し、2018年に正式な音源配信が行われたと整理できる。 本曲は、英語圏に古くから伝わる「The Fox」「The Fox Went Out on a Chilly Night」と呼ばれる狐の伝承歌を強く下敷きにした作品である。 ただし、Little Baby Bum版では重要な改変がある。 伝統的な歌詞では狐がアヒルやガチョウを捕らえて食料として持ち帰る展開が一般的であるのに対し、この版では狐がアヒルやガチョウに「友達になってほしい」と呼びかけ、彼らもそれを受け入れる。最後には人間のJohnが角笛を吹くと、狐はその場を去り、また戻ってくることを告げる。このことから「古い狐の伝承歌をもとに、捕食描写を友好的な交流へ変更した子ども向け童謡」と捉えることもできる。
基本情報
曲名:The Fox
アーティスト:Little Baby Bum Nursery Rhyme Friends
作曲者表記:Aaron Anthony Marsden
プロデューサー:El Bebe Productions Ltd
収録アルバム:『Animal Songs and Nursery Rhymes for Children, Vol. 1 - Fun Songs for Learning with LittleBabyBum』
YouTube公開確認日:2017年7月18日
音源発売日:2018年7月13日
アルバム曲順:3曲目
楽曲時間:1分52秒
レーベル:Moonbug Entertainment Music Limited
ジャンル:Children's Music、Nursery Rhyme
言語:英語
国:イギリス系コンテンツ
Shazamでは、Little Baby Bum Nursery Rhyme Friendsを演奏者、Aaron Anthony MarsdenをComposer、El Bebe Productions LtdをProducerとしてクレジットしている。
YouTube上の公式配信音源でも、2018年7月13日リリース、ProducerをEl Bebe Productions Ltd、ComposerをAaron Anthony Marsdenとしている。
なお、歌自体は古い伝承歌と非常によく似た旋律・歌詞構造を持つ一方、配信上のクレジットはAaron Anthony Marsden名義になっている。そのため本記事では、
「伝承歌を下敷きにしたLittle Baby Bum版」
とし、配信クレジット上の作曲者はAaron Anthony Marsdenとして区別して記載する。
楽曲について
「The Fox」は、一匹の狐が寒い夜に町へ向かうところから始まる。
狐は月明かりに感謝しながら、長い距離を進んでいく。
やがて狐は、アヒルやガチョウがいる大きな囲いへたどり着く。
ここまでは、古い英語圏の伝承歌「The Fox Went Out on a Chilly Night」とほぼ同じ物語構造である。
しかしLittle Baby Bum版では、ここから展開が大きく変わる。
狐はアヒルやガチョウを襲うのではなく、「自分の友達になってほしい」という趣旨の呼びかけをする。
アヒルとガチョウもその申し出を受け入れ、狐と友達になる。
その後、人間のJohnが丘の上へ行き、角笛を大きく鳴らす。
狐は楽しい時間だったことを示しながら、そろそろ出発することを告げ、また戻ってくると約束してその場を去っていく。
そのため、このLittle Baby Bum版には、
・狐の夜の旅
・町への到着
・アヒルやガチョウとの出会い
・人間の角笛
・狐の退場
という、伝承歌の骨格が残っている。
一方、
・家禽を捕食する
・獲物を巣へ持ち帰る
・家族と食べる
といった伝統版の展開は削除されている。
原曲との関係
本曲の元になったと考えられるのは、英語圏で古くから伝えられている「The Fox」「The Fox Went Out on a Chilly Night」などと呼ばれる伝承歌である。
伝承歌の典型的な形では、狐が寒い夜に巣を出て町へ向かう。
その途中でアヒルやガチョウが飼われている場所を見つけ、獲物を捕らえる。
人間側は狐を追おうとするが、狐は逃げ切り、最後には獲物を巣へ持ち帰って家族と食べる。
Little Baby Bum版にも、
寒い夜
月明かり
町へ向かう狐
アヒルとガチョウ
John
角笛
といった特徴的な要素が残っているため、同じ伝承歌の系譜にあることが分かる。
しかし物語の意味はかなり変更されている。
捕食から「友達」への変更
Little Baby Bum版でもっとも特徴的なのが、狐とアヒル・ガチョウの関係である。
古い伝承歌では、
狐=捕食者
アヒル・ガチョウ=獲物
という関係になっている。
ところが本作では、狐はアヒルとガチョウへ友好的に接する。
狐は彼らを食べるために捕らえるのではなく、仲間になってほしいと呼びかける。
そしてアヒルやガチョウもそれを受け入れる。
これは子ども向けアニメーション作品であるLittle Baby Bumらしい変更と見ることができる。
ただし、
「子ども向けに残酷な描写を避けるために変更した」
とLittle Baby Bum側が公式に説明した資料は今回確認できなかった。
したがって、制作意図については断定せず、
「結果として、原歌に見られる捕食場面が友好的な交流へ変更されている」
とするのが適切である。
キツネとの関係
本曲における狐との関係は非常に強い。
狐は、
タイトルに登場する
歌詞の主人公である
寒い夜に旅へ出る
月明かりの下を進む
町へ向かう
アヒルやガチョウと出会う
彼らと友達になる
人間の角笛を聞いて去る
という一連の行動を取る。
したがって、
「タイトルに狐があるだけの楽曲」
ではない。
また、
「人間を狐にたとえた比喩」
でもない。
明確に一匹の狐を主人公とした動物童謡である。
ただし、この狐は自然の生態を忠実に描いた存在ではなく、人間のように会話し、アヒルやガチョウと友達になり、別れの挨拶まで行う。
そのため分類としては、
「擬人化された狐を主人公とする子ども向け童謡」
がもっとも適切である。
実在する狐との違い
現実の狐は肉食傾向の強い雑食動物であり、小型哺乳類、鳥類、昆虫などを食べる。
農場などで飼育されているアヒルやガチョウを襲う可能性もあるため、古い「The Fox」の歌詞に見られる「狐が家禽を狙う」という構図には現実の生態が反映されている。
一方、Little Baby Bum版ではその関係が大きく変更されている。
狐とアヒル・ガチョウは捕食者と獲物ではなく「友達」になる。
したがって、この版を狐の生態を学ぶための歌として扱うのは適切ではない。
あくまで、
「狐を主人公とした児童向けの物語歌」
である。
狐の「悪役」性の変化
古いヨーロッパの民話・童謡では、狐はしばしば家禽を盗む存在として登場する。
そのため、
ずる賢い
泥棒
捕食者
人間の家畜を狙う
といった役割を与えられることが多い。
伝承歌「The Fox」でも、狐が人間の飼うアヒルやガチョウを持ち去るため、人間側から見れば「家禽泥棒」である。
Little Baby Bum版では、この性格がほぼなくなっている。
狐はアヒルやガチョウを奪わず、友達として交流する。
さらに角笛が鳴った後も、争いや追跡の場面が強調されることなく、狐自身が旅を再開する形で終わる。
そのため、
「狡猾な狐」
「家禽泥棒の狐」
という西洋の典型的な狐像を、幼児向けにより親しみやすいキャラクターへ変化させた版として見ることができる。
ただし、これも作品内容からの位置付けであり、制作側による明示的な説明ではない。
妖狐・狐伝承との関係
本曲には、日本や東アジアの妖狐文化との直接的な関係はない。
登場する狐は、
妖狐
九尾の狐
白狐
狐神
稲荷の眷属
人間に化ける狐
などではない。
また、
狐面
狐火
狐の嫁入り
狐憑き
などの日本の狐文化とも関係しない。
狐が人間のように話すが、それは妖力を持つためではなく、子ども向け童謡・アニメに一般的な擬人化である。
したがって本曲は、
「西洋伝承歌をもとにした擬人化された狐の童謡」
と捉えるのが適切である。
映像について
Little Baby BumはYouTubeを中心に展開する幼児向けの3DCGアニメーションシリーズであり、「The Fox」にも映像が存在する。
公式YouTubeチャンネルでは、2017年7月18日に公開された「Learn with Little Baby Bum | The Fox | Nursery Rhymes for Babies | Songs for Kids」の冒頭、0分04秒から「The Fox」が収録されている。
映像によって、歌詞だけでは抽象的な狐やアヒル・ガチョウの関係が、幼児にも理解しやすい物語として視覚化されている。
また、Little Baby Bumの公式アーティストチャンネルには「The Fox」の単独音源も公開されており、2018年7月13日リリース、Aaron Anthony Marsden作曲、El Bebe Productions Ltdプロデュースとしてクレジットされている。
配信について
「The Fox」は複数のLittle Baby Bum関連アルバム・編集盤に収録されている。
2018年7月13日発売の『Animal Songs and Nursery Rhymes for Children, Vol. 1 - Fun Songs for Learning with LittleBabyBum』では3曲目として収録されており、Spotifyでは1分52秒の楽曲として配信されている。
また、『Nursery Rhymes & Children's Songs, Vol. 14 (Sing & Learn with LittleBabyBum)』にも収録されている。
2019年の『Animal Songs, Vol. 1』にも再収録されているため、Little Baby Bumの動物系童謡の一曲として繰り返し配信されている。
Little Baby Bumについて
Little Baby Bumは、幼児向けの童謡や学習歌を3DCGアニメーションとともに展開する子ども向けコンテンツである。
古典的な英語童謡だけでなく、数字、アルファベット、動物、乗り物、生活習慣などをテーマにしたオリジナル楽曲も多数制作している。
「The Fox」は、その中でも古い伝承歌を現代の幼児向けコンテンツへ取り込んだ作品の一つである。
SpotifyやShazamなどの配信サービスでは、アーティスト名を「Little Baby Bum Nursery Rhyme Friends」としている。
狐関連楽曲としての位置付け
「The Fox」/Little Baby Bum Nursery Rhyme Friendsは、「ふぉくすなっ♪」において非常に明確な狐関連楽曲として扱うことができる。
狐は、
タイトルに登場する
主人公である
夜に旅へ出る
町へ向かう
アヒルやガチョウと交流する
人間の角笛を聞く
再び旅へ出る
という物語を持つ。
そのため、狐との関係は単なる題名や比喩ではない。
一方で、古い「The Fox」の伝承歌とは大きな違いもある。
伝統的な版では、
「狐がアヒルやガチョウを捕食する」
という、人間と野生の狐との現実的な緊張関係が描かれる。
Little Baby Bum版では、
「狐がアヒルやガチョウと友達になる」
という友好的な物語へ変更されている。
したがって本曲は、
「狐そのものを主人公とした童謡」
「古い狐の伝承歌をもとにした楽曲」
「捕食者としての狐を、友好的なキャラクターへ改変した児童向け作品」
という位置付けが適切である。
実在の狐の生態を忠実に描いた作品ではないが、狐が物語の中心である点では狐関連性は非常に高い。
また、日本の妖狐や九尾、稲荷信仰などとは関係せず、西洋の伝承歌に登場する狐を現代の幼児向けキャラクターとして再構成した作品である。