ふぉっくす おん ざ らん/すうぃーと Fox On the Run/Sweet

「Fox On the Run」は、イギリスのロックバンド・Sweetが1970年代に発表した代表曲の一つである。 楽曲はSweetのメンバーであるBrian Connolly、Steve Priest、Andy Scott、Mick Tuckerの4人によって書かれ、1974年にアルバム『Desolation Boulevard』へ収録された後、1975年にバンド自身が再録音・プロデュースしたシングル版が発売された。一般的によく知られているのは、この1975年のシングル・バージョンである。 タイトルを直訳すると「逃げる狐」「逃走中の狐」といった意味になるが、本曲の“fox”は実在する動物の狐を指しているわけではない。 Andy Scottの後年の説明によれば、歌詞の対象は特定の人物ではないグルーピーである。英語の“fox”には魅力的な女性を指す俗語的な用法があり、本曲ではその意味で女性を“fox”と呼んでいると理解するのが適切である。

基本情報

曲名:Fox On the Run

アーティスト:Sweet

作詞・作曲:Brian Connolly、Steve Priest、Andy Scott、Mick Tucker

歌唱:Brian Connolly

演奏:
Brian Connolly:リード・ボーカル
Steve Priest:ベース、ボーカル
Andy Scott:ギター、シンセサイザー、バッキング・ボーカル
Mick Tucker:ドラム、パーカッション、バッキング・ボーカル

初期アルバム収録:『Desolation Boulevard』

初期録音:1974年

シングル発売:1975年

レーベル:RCA Victorほか

ジャンル:グラムロック、ハードロック、ポップロック系

国:イギリス

1975年のイギリス盤シングルはRCA Victorから発売されており、Discogsでは品番RCA 2524、1975年3月発売として確認できる。

なお、「Fox On the Run」には大きく分けて二つの録音が存在する。1974年の『Desolation Boulevard』に収録されたアルバム版と、Sweet自身によって再録音・プロデュースされた1975年のシングル版である。後者の方が広く知られるバージョンとなった。

楽曲について

「Fox On the Run」は、Sweetがそれまでの制作体制から一歩進み、自分たち自身のソングライティングを前面に出した時期を代表する作品である。

Sweetの初期から中期には、Nicky ChinnとMike Chapmanによる楽曲提供が大きな役割を果たしていたが、「Fox On the Run」はBrian Connolly、Steve Priest、Andy Scott、Mick Tuckerというバンドメンバー4人が作者としてクレジットされた作品である。

最初のバージョンは1974年のアルバム『Desolation Boulevard』に収録された。その後Sweetは、自らプロデュースして新たなアレンジで楽曲を録り直し、1975年にシングルとして発売した。

このシングル版ではシンセサイザーを印象的に使用したイントロや、力強いコーラス、ハードロックとポップを組み合わせたサウンドが特徴となっている。

1975年のシングルは世界的なヒットとなり、アメリカのBillboard Hot 100では最高5位を記録した。日本のユニバーサルミュージックも、Sweetを1970年代のイギリスを代表するグラムロック~ハードロック・バンドとして紹介し、本曲が全米5位を記録したヒット曲であるとしている。

歌詞について

歌詞では、語り手が一人の女性に対して距離を置こうとする様子が描かれている。

女性はさまざまなバンドについて語り、有名人の名前を持ち出すものの、その話がどこか表面的であることを語り手から指摘される。また、彼女の存在によって語り手が苦しめられていることが示唆され、最終的には彼女に立ち去るよう求める構図となっている。

Andy Scottは後年、この曲で描かれているのは特定されていないグルーピーだったと説明している。また、歌詞はアルバム版を録音する直前に急いで書かれたもので、再録音時には書き直そうと考えていたものの、結局そのままになったとも語っている。

したがって、本曲の中心にあるのは動物の狐の物語ではなく、ロックバンドの周囲にいる女性とバンド側との関係である。

タイトルの「Fox」

英語の“fox”は本来、動物の「狐」を意味する単語である。

一方で、口語・俗語では容姿の魅力的な人物、特に魅力的な女性を指す表現として使用される場合がある。

「Fox On the Run」における“fox”も、この俗語的な女性表現として理解されている。

実際、Andy Scottによる説明では歌詞の対象はグルーピーであり、動物の狐について語った曲ではない。

そのため、タイトルを文字どおり「走っている狐」や「逃げる狐」として解釈すると、実際の歌詞内容とは大きく異なる。

“on the run”には「逃走中」「逃げ回って」「移動し続けて」といった意味があるため、タイトル全体としては魅力的な女性を“fox”と呼び、その女性が去っていく・逃げていくようなイメージを持たせた表現となっている。

ただし、タイトルの細かなニュアンスについてSweet自身が逐語的に説明した資料までは確認できないため、「狐の習性を女性に重ねた」などと解釈を広げる必要はない。

キツネとの関係

本曲における狐との関係は、「人間の女性をfoxと呼んだ比喩・俗語表現」に分類できる。

実在する狐は歌詞に登場しない。

また、

・妖狐
・九尾の狐
・狐神
・白狐
・稲荷信仰
・狐面
・狐火
・狐の嫁入り

といった狐文化・伝承との関連も確認できない。

さらに、女性が狐へ変身する、狐のように人を化かす、狐の狡猾さを持っている、といった物語でもない。

本曲の“fox”は、魅力的な女性に対する英語圏の俗語的表現として使用されていると考えるのが最も妥当である。

つまり狐との関係は非常に限定的であり、

「狐を描いた曲」

ではなく、

「狐を意味する英単語“fox”を、人間の女性を表す俗語として用いた曲」

である。

「女狐」との違い

日本語にも、人間の女性を狐に例える「女狐」という言葉が存在する。

そのため「Fox On the Run」を日本語的な「女狐」のイメージと結び付けたくなるが、両者を完全に同一視するのは適切ではない。

日本語の「女狐」は、女性をずる賢い、狡猾、妖艶、人を惑わせるといった否定的な意味で狐に例える場合が多い。

一方、本曲の“fox”は英語の俗語として「魅力的な女性」という意味を基本としている。

歌詞中の女性に対して語り手が好意的でないことは確かであるが、それだけを根拠として「狡猾な女狐を描いた作品」と断定することはできない。

したがって、日本の狐文化における「女狐」そのものを題材とした曲ではなく、英語圏独自の“fox”という女性表現を使用した作品として区別する必要がある。

1974年版と1975年版

「Fox On the Run」を扱う際には、アルバム版とシングル版の違いにも注意が必要である。

最初の録音は1974年のアルバム『Desolation Boulevard』に収録された。このバージョンはMike Chapmanのプロデュースに関係する録音であった。

その後Sweetは楽曲を自分たちで再録音した。

1975年に発売されたシングル版はSweet自身によるプロデュースで、よりポップでシンセサイザーを強調したアレンジとなった。この再録音版が国際的なヒットとなり、現在一般に「Fox On the Run」として知られる音源もこちらである。

このため、配信サービスやコンピレーションによって収録されているバージョンが異なる場合がある。

映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』との関係

「Fox On the Run」は、発表から約40年後に再び大きな注目を集めた。

2016年に映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』の予告編で使用されると、楽曲への関心が急増した。ユニバーサルミュージックによれば、この影響によって「Fox on the run」がリバイバルヒットし、iTunesのRock Chartで首位を記録した。

その後、映画のサウンドトラック『Guardians of the Galaxy Vol. 2: Awesome Mix Vol. 2』にも収録された。

Apple Musicでも、Sweetの「Fox On the Run」が同映画サウンドトラックの収録曲として配信されている。

ただし、映画に狐のキャラクターが登場することを理由に選ばれた楽曲ではなく、映画での使用と本曲の「fox」という題名との間に狐モチーフ上の直接的な関係は確認できない。

MV・映像について

Sweetの公式YouTubeチャンネルでは、「Sweet - Fox On The Run - Promo Clip (OFFICIAL)」として公式プロモーション映像が公開されている。

映像の中心はSweetのメンバーによる演奏・パフォーマンスであり、狐そのものを主役とした映像作品ではない。

この点からも、本曲の「Fox」が動物キャラクターを指したものではないことが分かりやすい。

Sweetについて

Sweetはイギリスで結成されたロックバンドで、1970年代のグラムロックを代表する存在の一つである。

クラシック期の主要メンバーはBrian Connolly、Steve Priest、Andy Scott、Mick Tuckerの4人で、「Ballroom Blitz」「Blockbuster!」「Action」「Love Is Like Oxygen」など数多くの楽曲を発表した。

「Fox On the Run」は、その中でも特に国際的な知名度の高い楽曲の一つであり、アメリカではBillboard Hot 100最高5位を記録した。

狐関連楽曲としての位置付け

「Fox On the Run」は、タイトルに明確に“Fox”という語を持つものの、狐そのものを描いた作品ではない。

分類するなら、

「人間を狐に例えた楽曲」

の中でもさらに、

「英語の俗語“fox=魅力的な女性”を用いた楽曲」

とするのが最も正確である。

妖狐や狐伝承との関連はなく、狐の生態や姿も描かれない。また、「狡猾な狐」「人を化かす狐」という象徴を作者が意図したとする根拠も確認できない。

一方で、“fox”という動物名から派生した人間への比喩表現が、英語圏のロック音楽のタイトルとして使用された事例という意味では、狐文化を広く扱う「ふぉくすなっ♪」に掲載する価値のある作品である。

実在する狐を描く楽曲や妖狐伝承を題材とした楽曲とは明確に区別し、「狐という言葉から派生した人物表現」の一例として扱うのが適切である。

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