きつねがり キツネ狩り
寺嶌曜による警察ミステリー小説である。 2023年に新潮社から刊行され、第9回新潮ミステリー大賞を受賞したデビュー作。2026年には文庫版も発売された。警察小説に「過去を見る右眼」という超常的な要素を組み合わせながらも、地道な捜査と緊迫した心理戦を描いた異色のミステリーである。
あらすじ
警察官の尾崎冴子は、3年前のバイク事故で右眼の視力を失った。
ある日、事故現場の峠を訪れると、不思議なことに右眼へ3年前の出来事が映るようになる。その能力を知った署長・深澤は、尾崎を上司の弓削警部補とともに、未解決となっていた一家4人殺害事件の再捜査へ送り出す。
過去の映像という手掛かりを得ながらも、それだけでは犯人を逮捕することはできない。尾崎たちは現実の証拠を積み重ねながら、事件の真相と凶悪犯へ迫っていく。
「キツネ」との関わり
タイトルに「キツネ」とあるものの、本作はキツネや妖狐を題材とした作品ではない。
「キツネ狩り」という言葉は物語の中で象徴的な意味を持ち、事件や犯人との駆け引き、追跡劇を表現するタイトルとして用いられている。
そのため、狐文化や妖狐伝承を描く作品ではなく、本格的な警察ミステリーとして読む作品である。
主な登場人物
尾崎冴子
主人公。
右眼を失明した女性警察官。
特殊な能力を得るが、それに頼ることなく刑事として真実を追い続ける。
弓削警部補
尾崎の上司。
冷静な判断力を持つベテラン刑事であり、尾崎を支えながら事件の再捜査に挑む。
深澤署長
尾崎の能力を知り、未解決事件の捜査を任せる人物。
尾崎の可能性を信じ、継続捜査支援室の活動を後押しする。
作品の魅力
本作の魅力は、超常現象を取り入れながらも、あくまで警察捜査を中心に描いている点である。
見どころとして、
「過去を見る右眼」という独創的な設定
未解決事件を追う重厚な警察ドラマ
地道な証拠集めと推理
緊迫感のある追跡劇
最後まで予測しづらい展開
などが挙げられる。
キツネ好きにおすすめのポイント
狐が登場する作品を期待すると少し印象は異なる。
しかし、「キツネ」という言葉がタイトルに採用された作品を網羅するという観点では、あなたのブログの「キツネの名を持つ作品」カテゴリに掲載する価値がある。
シリーズとの関係
本作は、「継続捜査支援室シリーズ」の第1作である。
続編には『深淵のカナリア』があり、尾崎冴子の能力と継続捜査支援室の活躍が引き続き描かれている。
キツネ文化との関わり
本作は、稲荷信仰や妖狐、動物としてのキツネを扱う作品ではない。
一方で、「狐」は日本語において狡猾さ・追跡・だまし合いを連想させる言葉として使われることがあり、本作のタイトルにもそうしたイメージが反映されていると考えられる。
「狐狩り」とは?
実際の狐狩り(Fox Hunting)は、ヨーロッパ、とくにイギリスで行われてきた伝統的な狩猟文化である。
一方、日本では「狐狩り」という言葉が比喩的に使われることもあり、犯人を追い詰めることや、巧妙な相手との駆け引きを表現する場合がある。本作のタイトルも、このような象徴的な意味合いを持たせている。