はいいろぎつね ハイイロギツネ
ハイイロギツネは灰色と赤褐色の毛並みを持ち、木登りを得意とするアメリカ大陸のキツネである。
概要
カナダ南部から中央アメリカを経て、南アメリカ北部まで広く分布するイヌ科動物。英語では「Gray fox」「Grey fox」と呼ばれ、木登りの習性から「Tree fox」という呼び名もある。
アカギツネなどが属するキツネ属(Vulpes)とは異なり、ハイイロギツネ属(Urocyon)に分類される。「灰色の毛をしたアカギツネ」という意味ではなく、独立した種である。出典:IUCNイヌ科専門家グループ/Mammal Diversity Database
基本情報
項目 | 内容 |
|---|---|
和名 | ハイイロギツネ |
英名 | Gray fox、Grey fox |
学名 | Urocyon cinereoargenteus |
分類 | 哺乳綱・食肉目・イヌ科・ハイイロギツネ属 |
分布 | カナダ南部、アメリカ合衆国、メキシコ、中央アメリカ、コロンビア・ベネズエラ北部など |
全長 | 約79~112cm(尾を含む) |
体重 | 約3~6kg |
主な生息環境 | 森林、低木地、岩場、林と農地が入り交じる地域 |
食性 | 雑食性 |
保全状況 | LC(低懸念) |
体格の数値は目安であり、地域や個体によって差がある。体格:ニューヨーク州環境保全局/分類・保全状況:Mammal Diversity Database
外見
背中や体の側面は、白や黒などが混じった霜降り状の灰色をしている。一方、首の側面や脚などには赤褐色が入り、口元や喉には白い部分がある。名前のとおり全身が灰色一色というわけではない。
ふさふさした尾の上面には黒い筋が走り、先端も黒い。胴は細長いが、脚は比較的短く、全体に引き締まった体つきをしている。
灰色の背中、赤褐色の脚、白い喉、黒い尾先という配色が、外見を知るうえでの特徴となる。出典:Animal Diversity Web
木登りをするキツネ
ハイイロギツネを特徴づけるのが、木の幹を登る能力である。前足にはよく湾曲した爪があり、前腕の動きにも木登りに適した特徴が見られる。
登るときは前足で幹をつかみ、後ろ足で体を押し上げる。樹上では枝から枝へ移動し、下りるときには後ろ向きに降りることもある。
木登りは、コヨーテなどの捕食者から逃れる手段になるほか、食べ物を探す際にも役立つ。地上から離れた木の空洞を巣として使う例も知られている。出典:ニューヨーク州環境保全局
また、樹上で日光浴をしたり、果実を食べたりすることもある。木は緊急時の逃げ場所だけでなく、日常生活にも利用されている。出典:ミズーリ州保全局
分布と生息環境
分布域はアメリカ大陸の広い範囲に及び、温帯から熱帯までさまざまな環境に暮らす。
森林や低木地、岩場など、身を隠せる場所のある環境を利用する。北アメリカでは林と農地が混在する地域にも生息し、中央アメリカでは森林や密生した茂み、南アメリカ北部では山地の森林などで見られる。
都市やその周辺に暮らす個体もおり、人間によって変化した環境にも一定の適応力を持っている。出典:IUCNイヌ科専門家グループ
食べ物
ネズミ類やウサギ類などの小型哺乳類を捕らえるほか、鳥や昆虫、果実なども食べる雑食性である。動物の死骸を利用することもある。
食べ物の割合は地域や季節によって変わり、果実や昆虫が重要な食料になる場合もある。手に入れた食べ物をすぐに食べず、地面に埋めて蓄える行動も知られている。出典:Animal Diversity Web
行動と子育て
夜を中心に活動する
主に夜間に活動するが、昼間に姿を見せることもある。木登りが得意でも、暮らしのすべてを樹上で送るわけではなく、地上の林や茂みを歩いて食べ物を探す。出典:ミズーリ州保全局
休息や子育てには、木の空洞、倒木の内部、岩の隙間、密生した茂みなどを利用する。人家の周辺では、小屋の下などを使う場合もある。出典:ニューヨーク州環境保全局
両親が子育てに関わる
一般に雄と雌がつがいをつくり、両親が子どもの世話に関わる。雄も食べ物を運び、成長した子どもは親と過ごしながら狩りに必要な行動を身につけていく。出典:Animal Diversity Web
妊娠期間は約51~63日で、一度に2~7頭の子を産む。繁殖時期には地域差がある。出典:ニューヨーク州環境保全局
ミズーリ州では3~5頭の出産が一般的とされ、子どもは生後約3か月で親の狩りに同行するようになる。夏の終わりごろには家族が分散し、若い個体が独立していく。出典:ミズーリ州保全局
人間との関わりと保全
IUCNの評価はLC(低懸念)で、種全体の個体数傾向は安定とされている。
一方、地域によっては生息地の大幅な減少や分断、毛皮を目的とした捕獲などの影響を受ける。犬ジステンパーによる多数の死亡も報告されている。