きつねにもらったたからもの キツネにもらったたからもの
自然写真家の西村豊による児童向けノンフィクションである。2013年にアリス館から刊行された。 30年以上にわたり野生動物を撮影してきた著者が、長野県でキツネの親子と出会い、その成長を見守りながら撮影・観察した体験を、美しい写真とともに綴っている。自然の厳しさや命の尊さ、人と野生動物との距離感について考えさせられる作品である。
あらすじ・内容
幼い頃は動物が苦手だった著者が、一匹のキツネとの出会いをきっかけに自然の魅力へ惹かれ、やがて野生動物写真家として歩み始めるまでの体験が描かれている。
物語の中心となるのは、長野県で出会ったキツネの親子である。著者は巣穴を見つけるまでに3年を費やし、一枚の写真を撮るために3か月待ち続けるなど、長い時間をかけてキツネと向き合った。その過程で見えてきた子育ての様子や家族の絆、野生で生きる厳しさが、豊富な写真とともに紹介されている。
主な内容
- 野生のキツネとの出会い
- 巣穴探しと長期観察
- キツネの子育て
- 自然写真撮影の裏側
- 野生動物との適切な距離
- 命の尊さと自然の大切さ
専門的な生態学の解説書ではなく、実体験をもとに自然観察の魅力を伝える作品となっている。
本書の魅力
本書の魅力は、野生のキツネを「かわいい動物」としてだけではなく、一つの命として誠実に見つめている点にある。
著者は決してキツネを追い回したり、人に慣れさせたりすることなく、野生動物との距離を大切にしながら観察を続けている。そのため、写真からは自然な表情や行動が伝わってくる。
また、子どもにも読みやすい文章でありながら、大人が読んでも自然との向き合い方について多くの気づきを得られる一冊となっている。