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きつねつきのうた/せぷてんばーみー キツネ憑きの唄/セプテンバーミー

日本のロックバンド・セプテンバーミーによる楽曲である。2017年5月17日に発売された1st EP『世界として生きる君へと想う.ep[特別盤]』に収録され、同作のリード曲として発表された。作詞・作曲はドイヒロトが担当している。 セプテンバーミーらしいオカルト色の強い世界観を持つ楽曲で、タイトルには日本の怪異・民間信仰として知られる「狐憑き」が直接用いられている。歌詞では、死や生まれ変わり、二面性、正体の分からない存在などを思わせる不穏な情景が描かれ、狐に取り憑かれたような異常な感覚を表現した作品となっている。

基本情報

タイトル:キツネ憑きの唄
アーティスト:セプテンバーミー
作詞:ドイヒロト
作曲:ドイヒロト
初出作品:世界として生きる君へと想う.ep[特別盤]
発売日:2017年5月17日
初出版収録順:2曲目
規格品番:CCN-003
国:日本

『世界として生きる君へと想う.ep[特別盤]』はタワーレコード限定、2000枚限定生産で発売された作品で、以下の5曲が収録されている。

  1. 化かし化かされ化かし合い
  2. キツネ憑きの唄
  3. 光のストーリー
  4. magical chocolate moon
  5. アイヲウタウトリヨ

その後、2018年6月13日に発売された1stフルアルバム『セプテンバーミー』には、「キツネ憑きの唄 -Album version-」として4曲目に再収録された。

楽曲について

「キツネ憑きの唄」は、現実と怪異の境界が曖昧になったような世界を描く楽曲である。

冒頭から、自分がすでに死んでしまったのではないかと疑うような感覚が提示され、その後も自分自身の存在や状態に確信が持てない、不安定な語りが続いていく。

歌詞には、自分の中に何か別の存在が入り込んでいるようにも感じられる表現があり、「キツネ憑き」というタイトルと結び付くことで、主人公が狐に取り憑かれて人格や認識を揺さぶられているような世界観が形成されている。

一方で、具体的に狐の霊が憑依したと説明される物語ではない。

そのため、伝承上の狐憑きを忠実に再現した作品というより、「自分が自分ではなくなっていく感覚」や「何かに支配されている感覚」を、狐憑きという怪異のイメージによって表現した楽曲として捉えるのが適切である。

キツネとの関係

本作とキツネとの最も直接的な関係は、タイトルにある「キツネ憑き」である。

狐憑きとは、狐や狐に由来する霊的存在が人間に取り憑き、その人物の言動や精神状態を変化させると考えられてきた日本の民間信仰・怪異である。

日本の狐は、人間へ化ける、幻を見せる、人を惑わせるといった能力を持つ存在として語られるだけでなく、人間そのものへ取り憑く存在としても恐れられてきた。

「キツネ憑きの唄」では、この「狐に取り憑かれた人間」というイメージが楽曲全体の不穏な空気を支えている。

「化かす」狐

本作が収録されたEPの1曲目は「化かし化かされ化かし合い」であり、その直後に「キツネ憑きの唄」が配置されている。

「化かす」という言葉は、日本における狐の代表的な文化イメージの一つである。

狐は人間の姿へ変化したり、幻を見せたりして相手を騙す存在として、多くの昔話や怪談に登場する。

EPでは「化かし化かされ化かし合い」から「キツネ憑きの唄」へと続くことで、「化かす」「狐」「怪異」という要素が作品序盤から強く意識される構成となっている。実際に当時の作品紹介でも「キツネ憑きの唄」は、セプテンバーミーらしい「オカルトな世界観全開」の楽曲として紹介された。

狐憑き

狐憑きは、日本各地で語られてきた狐にまつわる怪異の一つである。

取り憑かれた人物が普段とは異なる言葉を話したり、奇妙な行動を取ったりするとされ、その原因を狐の霊に求める考え方が存在した。

狐そのものが姿を見せる必要はなく、人間の内側へ入り込み、その人を通して存在を示すところが狐憑きの特徴である。

「キツネ憑きの唄」でも、狐が動物として明確に登場するのではなく、人間の精神や存在そのものが揺らいでいるような描写を通じて、目に見えない狐の怪異を連想させる。

その意味では、「狐そのものを描く歌」ではなく、「狐によって変化した人間を描く歌」と見ることができる。

ミュージックビデオ

「キツネ憑きの唄」にはミュージックビデオが制作され、2017年4月末に公開された。監督は太田タイキが担当している。

撮影場所は神奈川県にある久良岐能舞台である。

映像は能舞台で演奏するバンドのシーンと、女優・久恒美菜やメンバーが出演するドラマパートによって構成されている。

能舞台という日本の伝統芸能を象徴する場所を使用したことで、「狐憑き」という和風怪異を題材にした楽曲の雰囲気が映像面でも強調されている。

能には狐を扱った演目も存在し、狐面や妖怪的な存在とも文化的な親和性が高い。そのため、能舞台という空間は本作の怪異的な世界観とよく結び付いている。

ただし、久良岐能舞台を選んだ理由について、特定の能演目や狐伝承との直接的な関係が公式に説明されているわけではない。

オカルトと狐

セプテンバーミーは、幽霊や妖怪、死、不可思議な現象などを思わせる題材を楽曲名や世界観に取り入れてきたバンドである。

「キツネ憑きの唄」が収録されたEPの紹介でも、本曲は「オカルトな世界観全開」と表現されている。

後の1stアルバム『セプテンバーミー』にも、

「キツネ憑きの唄 -Album version-」
「幽霊ダイブ -Album version-」
「妖怪ダンス -Album version-」

といった怪異を連想させる楽曲が並んでいる。

その中でも狐憑きは、日本の民間信仰に実際に存在してきた怪異であり、本作はセプテンバーミーのオカルト的な音楽世界と日本の狐文化が直接交わった楽曲である。

1st EP『世界として生きる君へと想う.ep[特別盤]』

『世界として生きる君へと想う.ep[特別盤]』は、2017年5月17日に発売されたセプテンバーミーの1st EPである。

新体制となったバンドによる作品として制作され、タワーレコード限定2000枚で販売された。

「キツネ憑きの唄」は同作のリード曲に選ばれ、発売に先駆けてミュージックビデオが公開された。

EP発売後には「百鬼夜行ツアー2017」も開催された。「百鬼夜行」は、多数の妖怪や怪異が夜に行列を作るという日本の伝承を表す言葉であり、狐憑きを含む作品のオカルト的な方向性ともつながるツアータイトルとなっている。

セプテンバーミーについて

セプテンバーミーは、2012年に結成された東京・立川発の日本のロックバンドである。当時は「東京都立川発、最高に情けない次世代ポップバンド」を掲げて活動していた。

ロックやポップを基盤としながら、幽霊、妖怪、オカルトなどの奇妙で幻想的な題材を取り入れた楽曲を発表している。

「キツネ憑きの唄」は、そうしたセプテンバーミーの世界観を象徴する一曲であり、日本で古くから語られてきた狐憑きという怪異を、現代のロックサウンドと不安定な心理描写へ落とし込んだ作品である。

狐そのものの姿を描くのではなく、人間の内側へ入り込む「見えない狐」を題材としている点で、狐関連楽曲の中でも怪異・民間信仰としての狐を強く感じられる作品である。

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