<コラム>キツネの生物学的分類
キツネの生物学的分類とは?
「キツネ」と一口に言っても、実は一種類の動物ではない。
世界には約20種以上のキツネが知られており、それぞれ異なる環境へ適応しながら進化してきた。
生物学では、生き物を共通点や進化の歴史によって分類している。
基本的には次のような階級がある。
分類階級 | 例:アカギツネ | 例:ヒト |
|---|---|---|
界 | 動物界(Animalia) | 動物界(Animalia) |
門 | 脊索動物門(Chordata) | 脊索動物門(Chordata) |
綱 | 哺乳綱(Mammalia) | 哺乳綱(Mammalia) |
目 | 食肉目(Carnivora) | 霊長目(Primate) |
科 | イヌ科(Canidae) | ヒト科(Hominidae) |
属 | キツネ属(Vulpes) | ヒト属(Homo) |
種 | アカギツネ(Vulpes vulpes) | ヒト(Homo sapiens) |
ヒトの別称として「Homo sapiens(ホモ・サピエンス)」を耳にすることもあると思うが、これは学名である。
学名はラテン語ベースの世界共通名称でアカギツネの場合は「Vulpes vulpes(属名+種小名)」となる。
一般的に「キツネ」と呼ばれる動物はイヌ科に属しており、キツネは犬の仲間である。
イヌ科には下記などの動物が含まれる。
・オオカミ
・イヌ
・コヨーテ
・ジャッカル
・タヌキ
・リカオン
・ドール
・キツネ
そのため、骨格や歯の構造、行動などには犬と共通する特徴が多く見られる。
例にあげている通り、日本でよく対称的に描かれる存在であるタヌキも実はキツネと同じイヌ科である。
キツネ属とは?
最も有名なのがキツネ属(Vulpes)である。
この属には、下記のような多くのキツネが含まれている。
・アカギツネ
・フェネックギツネ
・ベンガルギツネ
・ケープギツネ
・オグロスナギツネ
・オジロスナギツネ
・スウィフトギツネ
・キットギツネ
・チベットスナギツネ
・コサックギツネ
・アフガニスタンキツネ
一般的に「キツネ」と聞いて思い浮かべる動物の多くはこのキツネ属である。
実は、「キツネ」と呼ばれる動物の全てがキツネ属というわけではない。
例えば、下記のようなキツネ達は見た目はキツネでも、生物学上では別の属に分類されている。
種類 | 属 |
|---|---|
オオミミギツネ | オオミミギツネ属(Otocyon) |
ハイイロギツネ | ハイイロギツネ属(Urocyon) |
シマハイイロギツネ | ハイイロギツネ属(Urocyon) |
カニクイキツネ | クルペオ属(Cerdocyon) |
クルペオギツネ | クルペオ属(Cerdocyon) |
セチュラギツネ | クルペオ属(Cerdocyon) |
パンパスギツネ | クルペオ属(Cerdocyon) |
チコハイイロギツネ | クルペオ属(Cerdocyon) |
動物学ではキツネ属(Vulpes)を「真のキツネ(True Foxes)」と呼ぶことがある。
共通した特徴として、下記のような点があげられる。
・細長い顔
・大きな耳
・長い尾
・縦長の瞳孔
・軽快な体つき
一方、ハイイロギツネ属などは木登りが得意であるなど、真のキツネとは異なる特徴を持っている。
日本に生息するキツネと種類
日本で自然分布するキツネはアカギツネ(Vulpes vulpes)である。
その中でも、日本のほぼ全域に生息する「ホンドギツネ」と北海道に生息する「キタキツネ」はアカギツネの亜種として扱われる。
亜種とは、同じ種ではあるが生息地の違いによって見た目などの特徴に違いが現れた種であり、亜種同士は交配が可能なのが大きな特徴である。
亜種の代表例としてキツネ以外の動物ではトラがおり、「ベンガルトラ」「シベリアトラ」「スマトラトラ」などがあげられる。
ヒトで分かりやすく例えるならば、人種「アジア系」「ヨーロッパ系」「アフリカ系」があげられる。
一方、「ギンギツネ」「プラチナギツネ」「十字ギツネ」などは別種や亜種ではなく、アカギツネの毛色の変異である。
毛色の変異については、ネコでいうところの「白猫」「黒猫」「三毛猫」に相当する。
種の違いについて以前は体の形だけで分類されていたが、現在ではDNA解析による研究が進んでいる。
そのため現在でも、属や学名、亜種の扱いの変化といったことが起こっており、図鑑や論文ごとに差異があることもある。